旅立つタケル

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  緒沢タケルは、 二、三日検査入院というカタチで、病院のベッドを過ごした。 最初は警察の事情聴取もあったが、 すぐに日本の各地でテロや、大事件が起こり始め、 警察署も、個人宅の爆破事件に対応できる余力を失ってしまったのだ。 ・・・むしろ、タケルにとってもそのほうが都合がいい。 もう、誰とも口を聞きたくもなかった・・。 何も考えたくなかった。 口を開けば、自分の惨めな泣き言を止める事はできないだろう、 考えれば考えるだけ、 頭に浮かぶのは、美香と今まで暮らしてきた日々の出来事。 何気ない日常、夕飯を食べたり、怒られたり、 スリッパを投げられたり、下らない話で盛り上がったり・・・。 もう二度と、美香とのそんな暮らしを送る事はできない。 もう、彼女の声を聞くことも、 怒った顔や笑顔も見ることはできないのだ。 たった一人の肉親だったのに・・・。  
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