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夕日が西の山に沈みかけた頃、俺たち三人は並んで畦道を歩いていた。
三人でこうして並んで家に帰るのも久しぶりで、自然と会話が弾み歩く速度が遅くなった。
知念の寮生活の話を聞いているところで、この町にある唯一の交通手段である電車が駅から出ていくのが見えた。
朝昼夕と午後3時だけ来る、一日に四本しかない電車だ。
ここまでその電車に乗ってくる人間は、街の住人くらいしかいないので、ほぼ無人駅だった。
そんな駅から、背の高い人影が出て来るのが見えた。
一番に気がついた優子は「あっ」と小さく声を漏らしてその方へと駆け出した。
「大ちゃん!」
その声に気がついたのか、その人は足を止めて振り返った。
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