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「……ゆっこか」
ムスッとした顔のその男は、優子の姿を確認してふうと息を吐いた。
そして頭を丸刈りしたがたいの良い高身長のその男は、優子を見下ろして「よお」と小さく手を上げた。
あとから駆けつけてきた知念と俺も、その男を確認するなり、少し微妙な笑みを浮かべて声をかけた。
「……久しぶりだな、ダイ」
「大ちゃんも帰ってきたんだね。
実は俺もなんだ」
ダイ、もとい大和も、幼馴染の一人だ。
喧嘩早い性格で、いつもむすっとした表情を浮かべているせいか人に勘違いされやすい。
小学校を卒業するまではよく共に過ごした仲だったが、中学校からは所属するグループの系統が異なって、そこから微妙な関係になってしまった。
そんな大和は小学生の時から地元の野球チームに参加していて、今は甲子園へ何年も出場を果たしている硬式野球の名門校に進学した。
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