第1章『再会と石』

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家に着くと、祖母が茶の間で夕方のニュースを見ているところだった。 「おかえり、丞ちゃん」 居間に顔を出すなり、祖母は目を弓なりにして微笑み言った。 ただいまと返事をしようとした丁度その時、家の固定電話が鳴り響き、腰を浮かせた祖母を制して、早足で廊下を歩いて受話器をとった。 「もしもし」 「私よ、勉強はきちんとしているの?」 ここ数ヶ月一度も顔を合わせていない我が子への第一声が勉強の心配だったことに、苦笑いを浮かべた。 「やってる、宿題も終わらせたよ」 「宿題が終わったからって……」 「勉強は怠るな、だろ?分かってるよ。それよりも母さんはどうなんだ、次の仕事」
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