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命は突然に形となり、その輝きを放つ。
私は野に咲く花が好きだ。
お日様が出ると、お日様を見上げ顔を出す。
そして、色とりどりに輝やいている様に見えるからだ。
私もあんな風に綺麗に命を輝かせられるかな。
そしたら誰かに、花のように綺麗と言われるかな。
もう直ぐ、私の誕生日。
外は大雪の日々が続いてる。
風もビュービューと音を立てる。
晴れるといいな。
私は待つ、静かに待つ。
そして、その日は突然に‥。
太陽が顔を出し、雲は殆どない。
雪も晴れ、風もない。
〝突然、私の身体に命が宿る〟
これが私の姿、私は綺麗に咲く事が出来てるのだろうか‥。
不安で身体が固まる。
パキッパキッ
足音がした。
母に手を取られながら、小さな女の子が歩いてくる。
パキッパキッ
近づいてくる。
そして、女の子は立ち止まる。
「ママ、見て!お花が咲いてる!とっても綺麗!」
「本当ね、氷のお花が沢山。今日は天気も良いし、今日咲いたのかしら。」
「そうなんだ!んじゃあ今日が誕生日だね!お花さん!お誕生日おめでとう!」
嬉しい。
嬉しくて、少し涙が出た。
太陽さんが照らしてくれて、キラキラと光った。
命は突然に形になり、その輝きを放つ。
私は今日で消えてしまうだろう。
しかし、悔やむ事はない。
小さな女の子の言葉が私の命を永遠にした。
私は野に咲く花が好きだ。
そして私は氷の野に咲く花になる。
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