成長

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成長

 時計が12時をまわった頃。 漆黒で塗り潰されたような空は、ぽつりと浮かぶ月に照されどこか寂しげだ。 柔らかな月明かりが注ぐ窓際には昼間少女が拾った琥珀色の種の入った植木鉢。 静かに眠る少女のそばで、種はゆっくり成長を進めていた。 ビキビキ… 種はゆっくり、自らの殻にヒビを入れ土の中へ根を張る。誰にも気付かれぬようゆっくりと。 下に延びる根と反対に上には芽を伸ばす。 明日の朝には大きな蕾が少女と対面することだろう。 ターゲットに拾われた種は土の養分を吸い取りながら土から顔をだし、月明かりのもと、ぐんぐん成長を続ける。 異様にはやい成長スピードの裏にはこの植物を作り上げた管理者の思惑があるのだがそれは当事者以外知らなくていいものだ。 少女はスヤスヤと眠る。 種がもう種ではなくなっていることは露知らず、 深い深い眠りの中。 目が覚めれば、きっと驚くことだろう。 植物の成長に。
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