うれしくない記念日

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誕生日。 人が生まれた日を記念日とし、祝い祝われる日。 大人にとっては、子どもの成長を実感する日。 子どもにとっては、プレゼントをもらえる一大イベント。 子どもと呼ぶには少し大きすぎる高校生2年の俺達でも、祝ってもらうのは嬉しいし、両親からは未だにプレゼントをもらう人も多いはず。 そんなわけで、誕生日が近づけば段々と楽しみになってくる。 殆どの人、は。 「雅人。お前誕生日いつ?」 「…もう直ぐ」 「え、マジで?いつだよ」 「俺達で祝ってやるよ」 「いや、いいって」 三月の半ば。 友人2人との会話の中でふいに上がった話題に、つい暗い顔をする。 「それで、いつなんだよ」 「…来月」 「4月の、いつ?」 「…初日…」 「1日か」 誕生日を言いたくなくて、遠まわしな言い方をする。 少し間のあった後、友人2人はハッと何かに気付いたように顔を見合わせる。 「「エイプリルフールじゃん!!」」 そしてタイミングよくハモって驚く。 あぁ、もう既にいやな感じだ…。 俺の誕生日は4月1日。 この日は、平日だろうが休日だろうが、有名なイベントが毎年ある。 そう、エイプリルフールだ。 日本では「嘘をついて良い」だなんていう、不誠実な日とされてる。 俺だって、自分の誕生日は喜びたい。 ただ祝ってもらえれば、プレゼントなんてそんなにいらない。 しかし、エイプリルフールなんていうイベントのせいで、それに乗じて俺の誕生日を『半分』祝うやつが多い。
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