いちはち

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秋の終わりはばあちゃんの誕生日だった 誕生日ケーキはばあちゃんの好きなモンブランにした ロウソクは・・・ 「使える!」 茶ダンスにしまっておいた「1」と「8」 確かに使えた 「ばあちゃんは81歳になった!」 その日は息子も家にいて ばあちゃんの誕生日を息子と私とばあちゃん3人で祝った ケーキにささった「8」と「1」のローソクに火をつけた 息子は一瞬、チロッと私をみた いたずら盛りの頃の目をしていた ばあちゃんは勢い良く「18」のロウソクの火を吹き消した 「ばあちゃん、誕生日おめでとう」と息子がいった ばあちゃんは 「ありがとう」とこたえた そして、ばあちゃんは背筋をしゃんと一度伸ばすと 何やら話初めた、「それがね」と ばあちゃんは落語の噺家のように 歯が抜けた話を面白おかしく息子に話していた 涙をこぼし笑い転げている息子・・・ ばあちゃんは大好きなモンブランの栗をスプーンにのせて 口の中へと入れた 左の奥歯と右の歯茎で良く噛んで食べてみせた 「1」「8」コンビの笑い声はいつしか私も巻き込んでいた
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