第1章

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「だってさ」 椅子をくるっと回転させて私の頭にペンをコツっと当てる。 「いてっ」 「あいつから相談されたんだよ。あんたと付き合いたいって」 「は?」 「別に誰と付き合おうが関係ないけど、中川だけはやめとけ」 いつになく真剣な表情の成宮さん。 「あいつ、かなりのマザコンだぞ!」 そこかーい! 「何かあればペットのインコと母親のマリコの話ししかしない…あー気持ち悪っ」 「それより付き合いたいって言ってたのいつですか?」 「確か…ん~あ、わかった!あんたがセクハラ受けてる時くらいだよ!」 じゃあ庇ってくれていたのも… 「あんた、オッパイデカイから」 「は?」 「いつだったか、あんたが研修の帰りに支店に寄ったじゃん?その時のスーツ姿にノックアウトされたみたいだよ。ブラウスのボタンが弾けそうだったから」 ゾワッと身震いする私を見て、同情の目で成宮さんは私の頭にポンポンした。
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