第1章

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目の前に広げられたセクハラ記録。 元々セクハラ上司がしかけてくるのを皆が待っていた。 女なら年、見た目関係なくセクハラを繰り返してきた人。まだ35歳だったがセクハラで飛ばされてきた人。 「支店長、これだけの証拠があり、皆が証言してくれます。この支店だけで隠し通すことは無理なんじゃないですか?コンプライアンス窓口の石岡さんもいますし」 中川さんの言葉にセクハラをされてきた人の口角が上がる。 「や、やってない!」 セクハラ上司はまだ反論している。 「じゃ、監視カメラを確認しましょう」 正直、カメラにきちんと写っているか不安だったが、これは中川さんと何回も映る場所を特定して、いざという時には映る場所まで移動することになっていた。 その作戦もあり見事セクハラ現場から私がブチギレる瞬間まで綺麗に映っている。 「角野君、ちょっと話を聞かせてくれるかな?」 支店長と課長はセクハラ上司を会議室へと連れて行く。 それを黙って見送り、重い鉄の扉が閉まると成宮さんが私を肘でつついた。 「坂野、やっと本性表したな?良いじゃん!そっちの方が仕事しやすいし、見た目元ヤンか?って思ってたからしっくりきた!」 いや…元ヤンじゃない… 「いやいや、元ヤンじゃないですよ!かなり真面目な女の子でしたから!」 慌てる私に吹き出す成宮さん。 「ぷはっ!その慌てようは元ヤン間違えなしだな!そう思わない?大橋君!」 大橋さんはこの支店で唯一のイケメンだが全く興味がなくいつも我が道を行くといった感じの人だ。 「元ヤン、カッコいいじゃないですか!」 やっぱり変な人。 「いやいや、大橋さん、それ酷くないですか!」 クスクス笑う大橋さん。
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