動き出す国

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 光国の方針が打ち立てられて半年が経ち、レナの兄弟達はそれぞれ国力を高めていた。  その中でも財国は、サンドが光国から連れて来た大商人ヨシマの政治手腕により、五ヵ国の中で最も目まぐるしい発展を遂げる。 「おい、ヨシマ。ここに来てから半年ほど経つが、どの国も動きを見せないのは何故だ?」 「それは、サンド様も十分お分かりでしょう」  半年の間、誰も行動を起こさなかったのは二つの理由があった。  一つは現状把握しつつ国力を高めるという理由。もう一つは自国に隣接する国の問題である。  財国で言えば、心国を攻めると知国に留守を狙われる可能性があり、迂闊に動けない状況が続く。 「甘く見ていた。心国など簡単に滅ぼせると思っていたが、ゾイとか言う奴に阻まれてしまった。だから国力を高めるなんてつまらない事にも目をつぶっていたが、もう我慢の限界だ。兵の数も当初の四倍……二十万の大軍勢だぞ。ヨシマ、いい加減に良い案を聞かせろ!」 「そうですな……サンド様は戦をするにあたって、一番必要なものは何だと思われますか?」 「金だろ? そんな事は分かってる。だから商人のお前を連れて来たんだ」  苛立ちを隠せないサンドを横目に、ヨシマはゆっくりと話を続けた。
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