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「では、知国と心国のどちらを攻めますか?」
「勿論、心国だ。密偵によると知国の兵力は十二万程度で、心国は五万と言っていた。数に物を言わせれば難しくない。だが、知国にはチョウキの姉貴がいる……確実に留守を狙われるだろう」
「では、戦に一番必要な金の力を使うとしましょうか」
ヨシマが戦に乗り気だと分かり、サンドは玉座を飛び降りて駆け寄る。
「策があるんだな?」
「知国は武器の開発に掛ける費用を、財国の援助で賄っておりました。しかし、サンド様が財国に来てからは援助も止めています。さぞ資金源に頭を悩ませている事でしょう。そこで、知国と不可侵条約を結ぶのです」
「……成程な」
ヨシマの考えを理解し、サンドは不敵な笑みを浮かべた。
「財国を脅かさない代わりに資金援助を行う条約を結び、その間に心国を攻め取るのです。万が一に備え、本国の防衛に一万の兵を残すとしても、ほぼ全軍の兵が動かせます」
「よし、すぐに準備を始めろ。……見てろよ、兄貴達。光国の王になるのは俺様だ!」
サンドの号令により条約が結ばれ、すぐに心国討伐軍が編制された。
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