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「ちょっと待ってくださいよ! 勝手にユイを口説かないで下さい」
「そうですよ! ユイは俺達の女神なんですから! それに、ゾイ将軍はレンカさんって可愛い副将がいるのにズルいです」
ユイはどうでもいいよと無視を続け、ゾイは群がる男に高笑いを浴びせた。
「ハーッハッハッハ! ……君達、お子様は寝る時間だぞ?」
レンカの名前を出せば引くだろうと思ったが、そんな事くらいでゾイは挫けない。
「ふざけないで下さい!」
「ふざけてなんかいないさ。目の前に危険な雰囲気を漂わせた美女がいる……それを見過ごすなど、私の中の男が黙っちゃいない。さあ、ユイちゃん。一緒に楽園へ旅立とうじゃないか!」
「……私は忙しいので、あなた達だけで楽園とやらに行って下さい」
……
……
クミはゾイを見て顔が引きつり、あれが本当に英雄なのかと改めて疑問に思う。
「ねっ、馬鹿でしょ? あの人達……特にゾイさんですけど、惚れても苦労が目に見えているから有り得ないんですよ」
「ははっ……そうだね」
何はともあれ、将兵は残念なゾイを含めて酒を楽しんでいた。
しかし、一人だけ浮かない顔をしていたレナは城の外へと出て行ってしまう。
それを見つけたトウマが後を追い掛けた。
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