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「レナ様、準備は整っております。すぐに軍を動かしても宜しいでしょうか?」
「えっ、あっ、はい。全権を軍師に任せます」
「それでは……リク、カイト、ユイ、前へ!」
「はっ!」
トウマの呼びかけに、若い将軍達が前へと出た。場は静まり、緊迫した空気が流れる。
「お前達は各々三千の騎兵を連れて、急ぎ前線にいるゾイの救援に向かうのだ。相手の先方隊は恐らく数万だろう。だが、ゾイの指示通りに動けば、本軍到着まで耐える事は容易いはずだ」
「直ちに向かいます」
「次にライオウ、ケント、ユウセイ、アラタ」
「はっ、ここに」
三人の若い将軍が王の間を出て行き、続いて呼ばれた熟練の将軍が前に出た。
「この戦は、お前達の様な古参の将が勝敗の鍵を握る。レナ様の本軍に同行してくれ」
「必ずや、ご期待に応えて見せます」
流れる様に次々と指示を出し、トウマはクラスへと視線を向ける。
「クラスには五千の兵を預け、留守を任せる。城へ残る者に指示を出し、出陣の準備を手伝わせるのだ。後は……クミとユウリ、それにレンカとコウキは残ってくれ。話は以上だ」
それぞれが慌ただしく動き始めた。
――レナを含む数人だけが残され、トウマと一緒に別室へ移動する。その行動から読み取れるのは、軍事機密となる重要な作戦。
心臓の鼓動が少しずつ早くなる。
「ユウリ、お前には五千の兵を預ける。大事な使命を与えるから心して聞いてくれ。財国は東側が東国の為、守りが手薄になっている。そこで、先ずは軍を率いて東国へと赴き……」
トウマが指示を出すと、全員が驚きを見せた。
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