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「こんなに可愛い子を!? 正気ですか!?」
「そうだよ、無謀だよ! ……あっ、もしかしてこの子、剣や弓の扱いが凄いとか?」
じっと見つめるクミに、レンカが微笑み返した。……有能な兵士とは、かけ離れていると感じる。
「レンカは剣も弓も扱えない。馬に乗れるくらいの新米兵士だ」
「やっぱり、止めた方がいいよ!」
「……今回の戦は、ゾイに撤退して貰う必要がある。だが、あいつは自分の中で納得しないと、俺の言う事を聞かないからな」
ゾイは数々の戦場にて、一度も撤退をしていない事で名を馳せている。だからこそ、クミは驚きの表情を見せた。
「ゾイは逃げない。誰もがそう思うからこそ、効果抜群だろう」
「言う事を聞かせる為か……そんなに上手く行くかな? ゾイ君って見た目より頭は良いし、プライドが高いよ?」
「分かっている。ゾイは軍師としても活躍出来る知略を持った男だ。この半年間、強いだけの将軍では財軍の侵攻を防げなかっただろう。あいつが指揮を執ったからこそ、俺は国力を高める事に尽力できた」
喧嘩ばかりしているトウマとゾイが、お互いの事を信頼し、認め合っている。それが嬉しくて、レナは顔を隠してクスッと笑った。
「ふーん……まあ確かに、トウマ君の方がゾイ君の事を分かってるよね。それで、私はどうすればいいの?」
「レナ様とレンカは戦の経験が無い。二人に色々と教えてやってくれ」
「分かったよ」
トウマの采配により動き出す心国。
レナとサンドの直接対決が始まろうとしていた。
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