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身体の奥や表面の微妙なとこがまだ抑えきれず余韻でひくついてる。目を閉じて何とか鎮めようと努力する。加賀谷さんにそれを察知されたくない。
「…余計なお世話かもしれないけど」
不意に彼が口を開いた。わたしは目を開けて動かないその背中に視線を向けた。不規則にカチ、カチと鳴るマウスの音が静かな部屋に響く。
「黒服の相手してやれって言ったのは事実だけど。きつい時は別に断ったっていいんだぞ。あんなに会員たちに無茶苦茶にやられたあとまであんなの受けて、身体壊したら元も子もないだろ」
加賀谷さんはフロアに顔を出すことはないが、ラウンジの其処彼処や個室に設置されたカメラでどこで何が行われているかひと通り把握している。だからわたしが気絶するまでいかされて、そのあと再び意識が薄らぐほどやりまくられてたのもちゃんと知ってる訳だ。そこまで考えたところでもしかしたら、あの時黒服の子が声をかけて行為を終わらせてくれたのは加賀谷さんの意向だったのかもしれないな、と気づいた。
「うん、でも。…別に平気。嫌とかではなかったし、全然」
黒服たちが怒られるのも忍びないのでフォローするように口にして、ふと気づき慌てて噤む。なんか、それだと。…あんなにやられまくって何度もびくびくいったのにそれでも物足りなくて、更に男が欲しかったのかって思われちゃうか…。
羞恥で思わず耳が熱くなる。でも、それが事実なのかも。後輩の方の彼と一対一になりそうになった時は焦ったけど、二人が相手ってことになったらそれはそれで行為に没頭できて、我を忘れて愉しめた。さっきまでもう無理、って思ってたのに。シチュエーションと相手が変わればまた再び欲情できて…。
わたしは重いため息をつく。前の学生向けクラブでもこっちのクラブでも、わたしの身体を知ってる人たちは全員わたしのことをすごい淫乱だ、助平女だって言うけど。
どうやらそれは本当のことなんだろうな。他の女の人のことまではわからないけどこんなの普通であるはずがない。何人もの男の人の前で無理やりに身体を拡げられて恥ずかしい姿を見られて、数え切れない手に一遍に何をどうされてるのかもわからないほど弄ばれて意識が飛ぶまで次つぎに交替で抱かれるのが好きなんて。
いつもここに来るのはすごく気が重いし憂鬱なのに、いざ彼らの手に堕ちてしまえばもう、自制できないほど欲しがって求めてしまう。
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