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翌日、私は何もする気にならなかった。 タカさんに今日も仕事があると言われたが、断り昼まで寝ていた。 「お父さん」 突然娘が来た。 何故ここにいると知ったのか。そうか樫田だ。あのとき、私の後をつけてたのだ。 誤魔化せたと思った自分がおかしい。 私はまだ自分のことをわかっていなかった。 二人が出て行ったときに悟ったはずだったのに。もう何も望むことなどないはずだった。 だが何かを待っていたのだ。 娘に会えてそれを知った。 私は生まれてはじめて誕生日に涙を流した。
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