1輪 はじまりは皆既日食

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好きだと認識した異性には、積極的にアプローチをする理解しがたい人物だ。 「ねぇねぇ、今日のこと凄く盛り上がってるよね。 俺達も屋上に見に行こうよ!!」 「いやだ。興味ない」 「良いじゃん、クラスの女の子達に誘われちゃってさ??俺一人じゃ対処しきれないし、京介も一緒に来てよ!!」 「なんで毎回、懸(かける)のお守りしなきゃならないんだよ。そんなに嫌なら、断ればいいだろ??」 「だって、なずなちゃんもいるんだよ?!知的な所を見せて意識させたいんだよ!!」 浅はか極まりない発言に、朝からげんなりして眼鏡をかけ直した。 「今まで、どれだけ僕が付き合わされてきたか。思い出すだけでもうんざりだ」 そもそも、確たる証拠のない人の感情など、信じるに値しない。 そんな"気の迷い"に踊らされることを、何故楽しめるのか……不思議で仕方ない。 「どうせ、また"あのうるさい女"の対応だろ??」 「アハハ……だって、いつも一緒だし。なずなちゃんに近づくには、村崎さんを引き剥がさないと」 村崎シオンと白井なずな。 最近転校してきた、二人。 常に一緒に行動しているのは、幼い頃からの知り合いなのだろう。 二人の関係性がどうだとか、僕には関係のないことだ。 村崎シオンは、明るく活発で、転校初日からクラスに溶け込んでいた。     
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