5人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
好きだと認識した異性には、積極的にアプローチをする理解しがたい人物だ。
「ねぇねぇ、今日のこと凄く盛り上がってるよね。
俺達も屋上に見に行こうよ!!」
「いやだ。興味ない」
「良いじゃん、クラスの女の子達に誘われちゃってさ??俺一人じゃ対処しきれないし、京介も一緒に来てよ!!」
「なんで毎回、懸(かける)のお守りしなきゃならないんだよ。そんなに嫌なら、断ればいいだろ??」
「だって、なずなちゃんもいるんだよ?!知的な所を見せて意識させたいんだよ!!」
浅はか極まりない発言に、朝からげんなりして眼鏡をかけ直した。
「今まで、どれだけ僕が付き合わされてきたか。思い出すだけでもうんざりだ」
そもそも、確たる証拠のない人の感情など、信じるに値しない。
そんな"気の迷い"に踊らされることを、何故楽しめるのか……不思議で仕方ない。
「どうせ、また"あのうるさい女"の対応だろ??」
「アハハ……だって、いつも一緒だし。なずなちゃんに近づくには、村崎さんを引き剥がさないと」
村崎シオンと白井なずな。
最近転校してきた、二人。
常に一緒に行動しているのは、幼い頃からの知り合いなのだろう。
二人の関係性がどうだとか、僕には関係のないことだ。
村崎シオンは、明るく活発で、転校初日からクラスに溶け込んでいた。
最初のコメントを投稿しよう!