赦し

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大学二年の秋、妹は死んだ。それなのに、どこか現実離れした事実を受けとめて、涙一つ出てこなかった。自分には人間として大切な何かが足りないんじゃないかと疑った。 少しして、妹の遺体が無くなったと聞いて、俺は密かに安堵した。妹はリボーンに感染していて発症したのかもしれない。また〝生きている〟妹が見られるかもしれない、会えるかもしれない。そして、大学を休んで一週間、あてもなく探し歩いた。途中で妹の遺体が無くなったのはリボーンを発症したのではなく誰かが連れ出したんじゃないかと不安になりながら、探して探して一週間後の朝やっと見つけた。
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