リノ編(曇りのち晴れ)

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その後、しばらくして、天候が急変しました。 急に雲が広がり、辺りが暗くなり、 風が強くなり、波が高くなってきました。 ライフセーバーの放送がありました。  「皆さん、波が高くなってきました」  「泳いでいる方は、至急、浜辺に上がって下さい」 しばらくして、海から、 子供を抱えたリノが、上がってきました。 リノは、溺れていた子供を助けていたのです。 リノは、仲間のライフセーバーに子供を預けて、  「この子をお願い」  「溺れている子がもう一人いるので、助けに行くから」 リノは、急いで再び海に潜りました。 暗くて、子供を見つける事ができません。  「日が差してくれれば、見つけられるのに」 それを浜辺で見ていたミスターXは、  「その願い、叶えましょう」 ミスターXは、立ち上がり、空に手を伸ばしました。 手から現れた虹の輪が、空に向かって飛んでいきます。 暗雲の中で、虹の輪は、大きく広がり、雲を割りました。 虹の輪の中から、日差しが照ってきました。 日が差してきたので、リノは、再び潜って子供を探しました。  「子供を見つけた!」 海底にいたリノは、水面近くに浮かんでいた子供に向かって、一気に浮上して、子供を助けました。 浜辺に上がると、仲間のライフセーバーが走り寄り、 子供を預かり、  「御疲れ様、後は、こちらでやるよ」 と言って、人工呼吸を始めました。 しばらくして、子供の泣き声が聞こえます。 子供は助かったようです。 疲れてしゃがみこんでいたリノが、空を見上げると、 虹の輪が消え、再び、曇り空に戻っていきます。 しばらくして、ゴキブリ女王がミスターXのところへやってきて、  「また、人間を助けたね、不公平でしょう」 ミスターXは、  「私は何もしていません」  「天候は変わり易いものです。曇ることもあれば、晴れることもあります」
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