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生まれた時に逆子で生まれてきてみたお尻がぷりっとしていて可愛かったから、桃子なんて安直な名前をつけられた、その女の話でもしよう。
歳は26で、高校には行かなかった。
いまでも美尻は健在だが、主にそれを邪な目で見るのは男ども位だ。
もう8年も居酒屋でフルタイムでバイトをしていて、昼夜逆転の生活。
よく尻を酔っ払いの客にぺろっと撫でられる事にも慣れてしまったいた、そんな桃子はけして美人でもなんでもない。
低い鼻にそばかすの浮くような、笑うと目元がくちゃっとする。
笑うと小さい頃に折れたという色の違う差し歯が、のぞく、そんな女だ。
桃子はちょっと不思議な大人でよく仕事に行く前に道路にうずくまって蟻の大群を観察したり、唐突に「森林浴をしよう!」と休みの日に映画を見に行くよりピクニックに行くような女だった。
正直友人にするには、悩む。
そんな桃子には友人はもちろんおらず、家とバイトの往復。時折公園。
そんなぐらいだ。
駅に隣接した森林公園は桃子のお気に入りのスポットで、よくサンドウィッチを持って行ってはベンチにスライムのようによりかかり「光合成してる~」などと呟いていた。
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