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通学中私の情報を洗いざらい聞いてきた。
〇〇が好きで、〇〇が得意で、〇〇は苦手だからこれくらいしか出来なくて、勉強はこのくらいで。といった感じに質問に逐一答えていった。
そしたら優くんはそれを一つ一つ追従してきた。
どうやら私の言った”色々追いついたら”という部分を本気に捉えて、色々追いつこうと必死だったらしい。
私は一人っ子だったので、そんな優くんはまるで弟のようで可愛かった。
「春姉ちゃんごめん。僕頑張ったんだけど春姉ちゃんと同じクラスになれなかったよ。」
「え?優くん、私と同じ学年になるつもりだったの!?」
そんな事を言っていたのは、優くんが2年生になった時、私が5年生になった時だった。
どうやら優くんは色んな事を頑張って私に追いついたら、学年が一緒になれると思っていたらしかった。
私が、どんなに頑張っても同じ学年にはなれないんだよって教えてあげたら、優くんはかつてないほどの驚愕を顔に張り付けていた。
それでも翌日の朝には、
「春姉ちゃん! もっといっぱい頑張れば”とびきゅう”ってやつが出来るかもしれないんだって!」
と、目を輝かせて言う優くんは、以前の告白時より少しだけ男の子を感じさせた。
――結局優くんの飛び級の野望は叶うことはなく、私が六年生になった時、優くんは順当に3年生になることになった。
ものすっごく悔しそうな顔をしていたのがかわいかった 。
「春姉ちゃん、もう小学校卒業しちゃうんだよね。寂しくなっちゃうな」
「でも近所のみきちゃんが卒園でしょ? 今度は優くんもお兄ちゃんになって、みきちゃんの通学を見守ってあげなきゃいけないんだよ? 出来る?」
「春姉ちゃん子供扱いしすぎ。それくらい出来るよ」
「丁度私が四年生になった時に優くんが一年生になったんだもんね、できるかな?」
そんな何気ないはずの普段の会話が今は凄く懐かしい。
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