0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
生パスタと自家製ピザが人気のイタリアンレストラン。
いつもは22時半にマネージャーが店の戸締りをするが、この日は閉店の時間を過ぎても、お店の明かりがついていた。
お店の営業は終わっていたが、アルバイトで働いていた中田舞の送別会が行われていた。
「みなさん、1年間ありがとうございました」
「ここ辞めて、次はどうするの?」
「叔母の家族がやってるペンションンの手伝いを。叔母が腰を痛めちゃったので」
舞の両親は、20歳の誕生日の日に交通事故で亡くなり、身内は叔母家族だけだと、バイト仲間に話していた。
突然フロアーの照明が暗くなった。
すると、厨房から誕生日ケーキを持ったマネージャーが現れた。
「舞ちゃん、誕生日おめでとう」
バナナやオレンジ、イチゴなどのフルーツがたっぷりのったケーキに、21本のろうそくがささっていた。
フルーツは、舞の大好物だ。
「ありがとうございます。あの、記念にケーキも入れてみんなと一緒に写真撮ってもいいですか?」
ポケットに入れていたスマートフォンを取り出す。
「舞から、写真撮ろうなんて珍しいね」
「だね。いつも遠慮して、写真撮る側を徹底してたのに」
最初のコメントを投稿しよう!