阿ノ国の宿命

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高天ヶ原を歩きながら話を聞いた。 神様のこと、国さんのこと、紅丸のこと。 驚きなのは国さんは正真正銘『阿国』であり、人から六道の輪廻を抜け、神になったこと。 そのときから、阿国という宿命が、お役目が出来たこと。 そしてそれは今、紅丸が引き継いでいること。 それを私に手伝ってほしいとのこと。 私は世界観が崩壊して、ついていけておりません。 冗談で済ませたいも、じかに見てしまっているので冗談にもできず、国さんについていくだけの言いなり状態。 だが、ひとまず紅丸に逢えれば私は大丈夫な気がする。 決心できる気がする。 神と獣と人と。 その境を知る紅丸と、その天秤を守ろうとする紅丸と、優しい笑顔の紅丸と、ただただ早く逢いたい。 その想いだけが、私の足を支え、歩ませていた。 私の崩壊した世界の支えは薄く、新しい世界を支えられそうもない。 そこを無意識に紅丸という支えで支えたがっていた。 まるで親鳥を探す雛鳥のように、か弱くなった心を乱さないように高天ヶ原を行く。
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