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「いいじゃん。コウちゃんの誕生日、ちょっとでも祝いたかったんだもん」と不貞腐れるような口調で美和は言った。「コウちゃん、ところでお腹すいてない?カップラーメンでも作ろうか?」
「誕生日にカップラーメンかよ」
「だってコウちゃんのとこの冷蔵庫何にも入ってないし、私も今月生活ギリギリでお金ないし。ごめんね」
美和は悲しい顔をした。
「いいよ、カップラーメンで。腹減ったから作ってくれ」
俺はそう言うと上着を脱ぎ、ソファーに寝転んだ。美和を台所に行きお湯を沸かした。そしてしばらくしてカップラーメンを持って美和が俺の隣に来た。俺はソファーに座り、美和が持ってきたカップラーメンを啜った。
「まだ、お湯入れたばかりだよ」と美和が忠告した。
「バカ。入れたばかりで食べるほうが、麺が硬くて美味いんだよ」
美和は「へぇー、そうなの?」と感心していた。
俺がカップラーメンを食い終わると、美和が「そろそろバイト戻んなくちゃ」と言った。そしてカップラーメンのゴミと箸を台所に片付けに行った。
そして台所から戻ってくると、皿の上に乗せた小さなショートケーキを持ていた。
「コウちゃん。誕生日おめでとう」
そう言って美和は俺の前にショートケーキを置いた。
「誕生日に、カップラーメンとショートケーキかよ。変な組み合わせだな」と俺はボヤいた。
「ごめんね。本当に金欠で」と美和は再び悲しそうな顔をした。
俺はショートケーキの半分を一口で食べた。
「美味しいから、お前も食べてみろよ」
俺はそう言って、残りの半分を美和に渡した。
美和は「いいよ、私は」と言って遠慮していたが、俺が「いいから食べてみろよ」と強引に渡した。
美和がショートケーキを食べているとき、俺は美和に「ありがとな」と礼を言った。
美和は笑顔でショートケーキを頬張っていた。
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