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私は…
仕事がら日夜、世界のあちこちを飛び回っている。
その勤務地はヨーロッパにアメリカ、アジア諸国などなど…まさに世界中と言っても良いだろう。
しかも、母国に帰国した後も母国での別の仕事が待っている。
まさに、働きづめの毎日だ。
私は、世界中を飛び回るうち、各国の支局にいる仲間達と交流を深め、その結果、どんどん人脈も広がった。
どの国々の支局員達も皆、精力的に仕事に取り組んでいる。
しかし…
その一方で、やはり私達は、所詮は『生身の人間』…。
支局員達も皆、基本的には仕事に精を出しているのだが…
それでも時折、大なり小なり疲れた表情を見せていた。
まあ、それも仕方のない事だろう。
時折、この私も…
「今の私の働きづめの人生…果たして、幸せな人生と言えるのだろうか…」
と言う疑問が、頭をもたげる事が有る。
しかし、世の中には働きたくても働けない人達もたくさんいるのだ。
そう考えると、私の疑問は本当に贅沢な疑問と言うべきなのだろう。
さて。
そんな時、私に一ヶ月間の短期海外勤務の辞令が下りた。
今回の赴任先は、日本。
東洋の一島国でありながら、その勤勉な国民性でいち早く先進国の仲間入りを果たし、今や『メイド・イン・ジャパン』の商品は世界市場で幅を利かせている。
それにマンガやアニメなど、日本で生まれたサブカルチャーが世界を席巻している。
様々な意味で注目すべき国だ。
そんな訳で…
私は、日本に赴任した。
日本支局の所在地は、大阪。
メンバーは、老若男女合わせて十名で全員が日本語がペラペラだった。
ところで、この日本支局…
他の国々の支局と比べて違う点が有った。
それは、
支局員達の全員が終始、笑顔で仕事に取り組んでいる事である。
これまで私が赴任した他の国々の支局員達は、頑張って仕事をこなしてはいるが…
それでも、皆一様に時折、苦痛や疲労の表情を見せていた。
それに比べて、日本支局は、まさに笑顔の絶えない職場と言っても良いだろう。
「もしかすると…
日本人の『勤勉さ』が、ここの支局員達に『感染』したのかな…」
と、私は思った。
私は…
その事について、日本支局員のAさんに聞いてみた。
すると…
「うーん、日本人の勤勉さが『移った』というよりは、大阪人の『お笑い』が俺達に『感染』したのかもしれないよ。お笑いは、人を幸せな気分にさせるものなぁ」![image=510160828.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/510160828.jpg?width=800&format=jpg)
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