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大樹の森
「あーあ。また汚れちゃった」
草木が生い茂る森の中、少女は所々血で汚れた剣を鬱陶しそうに眺めていた。
少女の周りには狼の死体。ざっと数えて六体だ。
どの死体にも首の頸動脈付近を鋭利な物で切られた跡があった。この状況から察するに少女がやったのだろう。
少女は地面に剣を突き立てた後、腰に下げてたポーチから無地の白いハンカチと水筒を取り出した。水筒の中身は水の様で、飲むのではなくハンカチを濡らすのに使った。
そして或る程度ハンカチが濡れると、慣れた手つきで剣に付いた血を拭きはじめる。
「流石に毎日毎日拭いてれば慣れてくるよね。こんなの慣れたって全然嬉しくないけど」
剣は、五分もしないうちに綺麗な銀色の刀身へと戻った。
少女は、剣を腰に掛けてる鞘へと戻し、ハンカチと水筒をポーチへ戻した後、休憩のため、たまたま近くを流れていた川へと向かった。近くを流れていた川はどうやら上流付近のようで、大きな石があちらこちらに散らばっている。
「本当、最近魔獣被害多いよなぁ。ギルドに入ってくる依頼のほとんどが魔獣退治の依頼ばっかりだし」
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