11 女の子の勘(つづき)

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勘といっても、まだ6歳か7歳の子供のものだ。 当然ながら、当てにはできない。 その一方で、「もしかしたら」という淡い期待も浮かんでしまう。 そして、そんな考えが頭を占めていたからだろう。 「どうした? 口に合わなかったか?」 先輩に正面から声を掛けられ、我に返ると、 私は、フォークを持ったままぼんやりしていた。 「あっ、いえ。あの、ちょっと熱かっただけです」 ぎこちなく誤魔化し、慌てて視線を落として、私はサラダにフォークを突きさす。 軋みそうな短い沈黙が、先輩との間に浮かんだ。 だが、 「ねぇ、美味しいでしょ? このサラダ」 うん。 斜向かいからニコニコする璃乃ちゃんに言われ、私も笑顔で頷き返す。 だが、そんな嬉しそうに食べる彼女の存在が、唯一この場の和み。
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