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それでも、食事が済み、
璃乃ちゃんを送っていくという先輩たちと一緒に、彼の部屋を出る。
すると、自分の部屋を前にした私の手に
不意に少女の手が、そっと滑り込んできた。
「美羽ちゃんも、一緒に行こう?」
だが、さすがにこれは先輩が止める。
「バカ。コイツの家は、ここなんだぞ?
わざわざ、お前を送りに行く義理はねぇだろ」
しかし、なぜか璃乃ちゃんは頑なだった。
「ええぇ、せっかく美羽ちゃんと会えたのに。
じゃあ、駅まででいいから。ね? 一緒に行こう?」
そして私も、そんな彼女を無下にはできなかった。
「うん。じゃあ、駅まで一緒に行こう」
おい、いいのか?
心配そうな顔を向けてきた先輩に、私は笑顔で頷いた。
「先輩のグラタン、美味しくて、お腹いっぱい食べちゃいましたから。
ちょっと、腹ごなしの散歩です」
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