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えっ?
しかし私には、彼女の反応の意味が分からなかった。
そして、キョトンとしている私に、丁寧に礼を言われる。
「娘が、お世話になりました。何か、生意気しませんでしたか?」
「いえ。こちらこそ、楽しかったです」
かぶりを軽く振る私に、女性は、本当に優しい笑顔を向けてきた。
そして、
「恭平くん。たまには、あの人に顔を見せに行ってあげて。
今日、『どうしてる?』って気にしてたから」
はい。
隣に立つ先輩は、素直に頷いていた。
そんな彼と私に、彼女はお辞儀をして「これで」と言う。
私は、小さく手を上げる先輩の横で軽く頭を下げて返した。
ところが、彼女が小さな娘の手を引いて駅へと向かい始めた途端、
いきなり璃乃ちゃんが私を振り返った。
「美羽ちゃん。女の子の勘、間違いないからっ!」
そして、小さな手を元気に振って間もなく、その姿は見えなくなった。
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