12 サクラ 花びら 恋の舞

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12 サクラ 花びら 恋の舞

「悪かったな。急に誘ったり、飯や見送りまで付き合わせちまって」 駅からマンションへと向かい始めて間もなく、隣を歩く先輩に謝られる。 「いえ。私も、久しぶりに璃乃ちゃんに会えて楽しかったです」 そぉかぁ?  言った先輩の眉尻が、小さく下がる。 「連休中だし、本当はアイツも、家族とどっかに行きたかっただろうと思うんだ。 けど、そんな時に親父が入院して、自分のお袋さんにまで急な仕事が入ってさ。 朝から、気のねぇ俺とモール巡りしてて、つまんなかったんだと思う。 だから、お前と会えて妙にテンション上がったんだろうな」 ごめんな。 横顔を俯ける先輩に、私は再度かぶりを振る。
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