もう一度会えたら

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*** 七夕の夜がすっきり晴れることは少ないらしいが、今夜も薄曇りだ。昼間は晴れていたのに。 あの子の足は治っただろうか。 今日は短冊目当てに本を借りる生徒が多くて、図書委員は忙しかったんじゃないだろうか。 明日の告白タイムで誰かに告白されて、短冊を受け取るんだろうか。 あれから俺の頭の中はバカみたいに、あの子のことでいっぱいだ。 「あれ? 珍しい。今日はもう上がりなの?」 「はい。今夜は外せない用があるんで」 矢部先輩に声をかけられても、変に勘ぐって落ち込むこともない。そのせいか、最近仕事が面白くなってきた。 でも、今日は残業せずに別のことで必死になってみようと思っている。 明日、あの子が誰かに告白される前に、俺は今日、笠井駅のホームで待ち伏せすることにした。 笠井はターミナル駅だから乗降客が多い。 だから、俺は彼女を見逃さないように目を皿のようにして待っている。 次の電車で5本目。今度こそ彼女が乗っていますように。 どうか俺の気持ちが彼女に届きますように。 空を見上げて星に願おうとしたけど、雲がかかっていて見えやしない。 やっぱり最後は自分の力で何とかしないとな。
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