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 私とツキは塾で学んだことについて話すことはあったが、普段は言葉を交わすことは少なかった。ただ、ふいにツキが同じことを感じているのではと思うときがあり、そんなとき私とツキは全く同じタイミングで互いの姿を認める。私たちは見つめあうことになるのだが、ツキは決まってそんなときふっと優しく目を笑むのだ。その時間にしてはわずかな瞬間が私はとても心地よかった。  戦術について話す時、私はツキと自分が最も近しく感じられた。  条件をあらかじめ設定し、どう攻めるか、もしくは敵同士の設定でどう相手を攻略するかなどを時間も忘れて話した。同じ軍として攻めるときは私とツキの考えは似ていたし、敵同士の設定のときもツキがどう軍を動かすかは手に取るように分かった。そしてツキにも私の考えが分かっているようだった。 
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