藤田くんは平凡である

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確かに先輩の殴ってもいいか?と言う視線にそれは不味いと思い止めたが、これは良いか悪いかで言えば確実に悪い。 周りのクラスメイトは煩くなった。 角度的にクラス全体に見えたんだろう。 俺はただの平凡なはずなんだが...。 「...。」 流血事件にはならなかったがこれはこれで事件だ。 学校一のイケメンに平凡がキスされたんだからな。 まだ美女にだったら違ったかもしれない。いや、この際不細工でも女だったらまだ良かった。 だが残念ながら相手は平凡な男。 (これは荒れるな...。) 後で釘を差しておこう。 2度目は御免だ。 騒然とした教室から静かに出る。 みんなは驚きで出て行く俺達には気づかなかった。 「...さっきのですけど、もうあんな周りを煽るようなことしないで下さい。」 「分かった。2人の時にしかしない。」 キス自体しないでくれって言わないのは少なくともこの人に気持ちが傾いている証だと思うが、この気持ちをハッキリさせるのはもう少し掛かりそうだ。
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