月夜の光

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「ここは?」 「あら、つまらない?なら帰そうか?」 私の質問に不満そうな顔をして答える猫。 「いえ、ごめんなさい。もう少しいさせてください」 「そう言わないで長くいていいんだよ」 猫は髭を撫でながら言う。 「ねぇ、あなたは何っていうの?」 「チロル。それが私の名前。あっ、君は名乗らなくていいからね。ここにいる者は全て君を分かっているから」 チロルは微笑みながら言う。 「そうそう。歩くの疲れるからあそこから川で船漕いで行こうか?」 チロルが言うそこにはチョコレートで出来た小舟が一隻あった。そして川もまたチョコレートが流れ込んでいた。 私たちはその小舟に乗り込む。そして川の勢いと共に小舟は動き始めた。 「どう?ちょっとは楽しいかな?」 「まぁ……」 「曖昧な返事だな。あっ、川のチョコ飲んでみなよ。あっ、女性って太るの嫌なんだよね。そのうち太るくせに」 私はその言葉に腹が立ちそうになった。しかし何とか平常心を保った。 そんな私の姿を見てチロルは謝る。 「ごめんごめん。でも安心してこの世界にあるチョコレートはいくら食べても太ることはないから。一グラムさえ体重にならないよ。味は味わえるけどね」 「なら一口いただこうかしら」     
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