月夜の光

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月夜の光

月を見上げて私は静かに歩く。私の顔を月夜の光が照らしている。 静かな風に吹かれて何か聞こえてきそうだ。 「ねぇ、あなたは生きてて楽しい?」 私は振り返って後ろを見るが、誰もいない。周りを首を回してみるが、誰もいない。 「ははは。探しても無駄だよ。だって今の君には私を見る資格なんてないんだから」 資格?それよりもさっきの回答どうすれば。 「ねぇ、楽しい?」 「そんなの答えられないじゃない」 私は静かな夜の街道を歩きながら声を高めて叫ぶ。 「そうだよね。じゃあ、質問を変えるね。あなた、今よりも楽しいことになりたくない?」 私は姿なき者の声に驚かされた。私が今日……いや、数日前から思ってたことを言ったのだ。いわゆる私の最近の願い事だった。叶えるはずもないと思いながら願っていた。 「叶えるものならそうしたい」 私がそう言った瞬間だった。眩しい光に包まれる。そして何も無かった薄暗い場所がいつの間にかお菓子で出来上がった街のようになっていた。 「やっと見える資格を得たね」 後ろから声がかかる。私が振り返ると、そこにはチョコレートで出来たと分かるスーツ姿に帽子をかぶって杖をついている髭の生えた二足歩行の猫が立っていた。     
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