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「私が男性になるには、男性の方をひとり女性に変えなくては秩序が乱れると言われました。それから、私が第一の従者になるなら、現在第一の従者である方は私の身分になる、と」
「なんだと?」
セシリオの声に怒気が混じり、メイティは脅えたように肩を縮こまらせた。
「わ、私がこの姿なのは、殿下に見つけて頂く為です。魔女様は、従者を取り替えることになる殿下に、ひとつプレゼントを贈るからお伝えするようにと」
「何もいらん。俺の第一の従者はルゥで間に合っている」
「ですがもう、魔女様は魔法をかけてしまいました。今夜の・・・真夜中12時の鐘が鳴り終わる時に、私と第一の従者様の・・・性別と身分が入れ替わってしまいます」
「馬鹿な。俺は君を従者になどしないぞ」
「私などのことより、あの方のことです。殿下が望むのなら、あの方をおそばに留めることができます。それが魔女様の用意したプレゼントです」
サアア、と噴水の水音が沈黙を流す。
「それはどういう意味だ」
「12時の鐘が鳴り終わるまでに、あの方と殿下が愛を誓ったなら、性別が変わってもずっと一緒にいられると」
かぱ、とセシリオの口が開いた。
(誰と何を誓うだと?)
「・・・その魔女はどこだ。斬り捨ててくれる」
「ま、魔女様は・・・もういません」
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