―目覚めた海王―

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―ドラゴン… それは、人知を超えた偉大な存在であり、主に伝説上の生き物として絵画などに描かれる しかし、一口に『ドラゴン』と言ってもその役割は東洋と西洋とで大きく違っており、善と悪という対照的な存在として人々の間で語り継がれているのだ 主に西洋のドラゴン・竜は大きなトカゲのような生き物の背に翼ある怪物として描かれ、彼らは時として人間をさらったり、または宝の番人としてその宝を守るためなら躊躇なく人間を襲う事から人々から凶悪な存在、主に人に害なす存在として恐れられる事が多い 一方、東洋の龍はと言うと、 その姿は、頭はラクダ、角は鹿、目は鬼、耳は牛、うなじは蛇、腹は大きな蛤とも言われる蜃、鱗は鯉、爪は鷹、手のひらは虎という様々な動物から構成されていて、そんな彼らは立派な鬣と長い髭を持ち、手には水晶玉を持ちながら空を優雅に泳ぐ、その神々しい姿から主に“神”として人々から崇められる事が多い そんな彼らの呼び名は“ドラゴン”よりも、蛇を表す“サーペント”が相応しいとされる そんな西洋のドラゴンと、東洋の龍…どちらの竜をも魅了し、惹きつける存在がいた それは、人間界にあるとある王国の姫君…その名は瑠璃姫 彼女は生まれながらに竜に愛される体質を持っており、尚且つ、赤ん坊の頃、東洋の龍族を纏める長・龍帝“九頭龍”によって唯一、あらゆる竜を手懐ける事が出来ると言われる“龍帝の紋章”を与えられた人物でもあった そして… 東洋の龍のように蛇状の長い身体を持つ海蛇・“シーサーペント”を従え、自身も同じく長い身体を持ちながら、嵐や大渦を発生させて船を沈没させるなどその行動は西洋のドラゴンに近く、時にはあの悪魔の帝王・サタンに並ぶほどの悪魔とも称される幻獣がいる それが、神によって創造されたと言われる、世界最大級を誇る海の王者“リヴァイアサン”である 『ヨブ記』という書物によれば、リヴァイアサンは「誇り高い全ての獣の上に君臨している」と記録されており、また「その口からは炎を噴き、鼻の穴からは煙りを噴き出す」とされ、どのように鋭い剣も槍も通じない強靭な鱗を持っていたと記されている
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