僕の願い事

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「俺はどうしても、ここでアイドルにならなくちゃいけなくてな。故郷に戻ってから辞表を出して、再び地球に来たのさ。なんせ、数ヵ月前に出会ったブラザーがとても寂しがり屋でね。俺は、あの時に決めたのさ。そのブラザーの為に、俺がしてやれることは何かって……それは、俺がいつでも輝いている姿を見せる事さ!」  だからって、何でアイドル!? 「ほら、俺、皆のアイドルお星様だから」  テレビの向こうから、絶妙なタイミングで突っ込みの返しがきたよ!? 「寂しがり屋のブラザー。お前は、一人じゃないぜ! 俺がいる! そしてブラザー、願い事っていうのは行動を起こして初めて叶うもんだ。だから俺も特殊能力は使わず、あっ、記憶操作は別として、自分から行動を起こしてアイドルになったんだぜ! ブラザー、自分に自信を持て! 前向きに生きて行こうぜ! ブラザーなら、それが出来る。何故わかるかって? 俺達は、最高の友達だからさ! というわけで、聴いてください。俺のデビュー曲、マブダチ」  曲名、ださっ!!  何かいい話してるなと思えば、タイトルまでのフリ!?   結構、強引に繋げてきたよ!  その後、異例の大ヒットしたマブダチは連日どこでも耳にするようになった。  街中に、あいつの姿も広告やら何やらで溢れてる。正直、皆どうかしてると思ったけど、やっぱり皆どうかしている。記憶操作、半端ないな!    沢山の星達の中で見つけた僕の星は、今や本当に皆のスターになった。あいつ、本当にどこまでもスターな奴だったよ……    今は夜空を見上げなくても、どこを見てもスターが輝いている。僕が寂しくないようにと、アイドルになって輝いてくれている。それなら、側にいてくれたらいいのにと最初の頃は思ったけど、こうして街中に溢れているあいつを見ると、これで良かったんだと思う。僕の為に能力を使わず、スター自身の努力でアイドルでい続ける姿を見て、僕は沢山の勇気と元気を貰ったから。    想いは届く。  でも、その想いを届かせる為の努力を忘れちゃいけない。  僕は、それをスターから教わった。    皆、それぞれ心の中に星を持っている。  それを輝かせようと、一生懸命生きている。    スターが溢れた街の中を夜空の下ではなく青空の下、心の中に宿った小さな星を連れて僕は歩きだした。     さあ、今度は僕が輝く番だ。
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