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僕は、漕いでいたブランコの足を止めた。
見上げれば、月夜の綺麗な夜だ。
街の明るさで星の輝きは弱いけど、たまには月と星を愛でるのもいいだろう。
この寂しさを少しでも和らげようと、僕は淡い光を放つ星達を瞳にとらえては、一つ一つその存在を確かめていく。
その中で、一際光輝く星があった。
僕は星には詳しくないから何の星かはわからないけど、自分にはない輝きが羨ましくて、ちょっとだけでもいい。その光を僕にわけて欲しくて、右手をその星に向かってかざした。
指の隙間から覗き見る星。
流れ星ではないけれど、
僕のお願い事を聞いてくれるかい?
星が輝く夜空への願い事、それは……
僕が、その願い事を言おうと口を開いた瞬間、何の前触れもなく僕の目に射すように眩い黄色い光が入り込んできた。その眩しさに瞼を閉じ、光が収まった頃に僕はゆっくりと瞼を上げる。
今の光はなんだったんだろうと、思う予定だった僕の思考が、いきなり台無しになった。そんな事を思う前に、目の前に現れた淡い光を纏った物体が言葉を放つ。
「ご指名、あ~りがとう~ござ~いまっす! 皆のアイドル、お星様のスターです!!」
びしっと、腕を交差させて右手を口元に持ってきて決めポーズをしているその物体は、誰しも知っている姿を、いや形をしていた。五角形の星形に。
だけど、それ以外がもっとおかしい。
その星形にキリリとした眉、切れ長な目に綺麗に通った鼻筋、厚すぎず薄ぎない口という、男の僕でも惚れ惚れするようなやけに格好いい顔の造形。
何、このイケメンの無駄遣い!?
更におかしいのは、続く。
顔つき星型に、直接やけに細い手足がついていることだ……
なんだろうか、この物体は?
そう、これを一言で表すならこれに尽きる。
「キモ!!!!」
僕は、驚愕に目を見開きながら叫んだ。
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