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「お~っと、一見無害な顔をしながら毒を吐く好青年よ! いきなりの心折れる発言はやめて貰おうか~! 俺はお前の願い事を叶えるためにやって来た、いわばお前の為のスター。俺はお前のもの、俺を好きにしていいんだぜ? さあ、ブラザー! 遠慮はいらない。1つだけお前の願いを叶えてやるから、俺の胸に飛び込んでこい!! さあ、ブラザー!!」
両手をこれでもか!ってくらい広げ、あの物体は眩い光を放ちながら、僕を今か今かと何やら期待した目で待っているようだ。とりあえず、ブランコから立ち上がった。
僕はこんなときの対処法を知っている。
文明機器であるスマホをポケットから取り出して、かければいい。
「もしもし、警察ですか? えっと、公園に新種の変態が……」
「ヘイ、ブラザー! そういう『拘束』プレイはお断りだぜ! というわけで、没収!」
にょい~んと、伸びてきた右手が僕のスマホを奪い取ると、そのまま自分の口に放り込みバキバキと音を立てて噛み砕けばごくんと飲み込んでしまった。
え!? こいつ何なの!?
気持ち悪さMAXよりも、それ以上のショックに膝からくずれ落ちた僕。
ああ……そんな、まだローンが残ってるのに……
僕の心も、食べられたスマホ同様にバッキバキに折れた。
「どうした、ブラザー? 青ざめた顔をして気分でも悪いのか? 何なら願い事は、健康にでもするかい?」
一体誰のせいだと……
この奇妙な物体に睨みをきかせるも、お構いなしに健康が一番!と言いながらスクワットを始める始末。
どうしたらいいんだろう、これ……?
僕は頭を悩ませた。
夢なら覚めて欲しいとは思うけど、願い事を1つだけとはいえ叶えてくれるというのは、魅力的だ。
夢でも何でもいい。
この際、折角だし叶えてもらおうかな。
僕は立ち上がると、一心不乱にスクワットをし続ける一頭身の星をやや離れた場所から見下ろす。
「僕のお願い事、聞いて貰ってもいいですか?」
「勿論だぜ、ブラザー!」
多分汗?を光らせた物体が、僕に向けて右親指をびしっ!と立てた。
「じゃあ、僕の話し相手になって貰えませんか?」
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