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養護教諭が出ていき、俺は眠る彼女をじっと見つめていた。無防備に眠る顔は、とてもあどけなく、少し幼く見えた。
彼女のことは良くない見かけた。クラスが隣だということだけ、名前は知らない。
ただ見かける度に、自分とは世界が違うなと思ってた。
そんなことを考えていると、彼女から声が聞こえた。
「…ん~。むり~たべれない~」
どうやら寝言のようだ。
俺は思わず、喉奥を鳴らすように笑ってしまう。起こさないように、だけど耐えきれず口角が上がる。
(面白いやつ…)
今まで色んな女子が側にいたが、こういう子は初めてで、彼女の事がもっと知りたくなった。
心臓が、トクントクンと少し波打っている。
この不思議な感情に、驚きつつも愛おしくも感じた。
恐らく、俺はきっと彼女の事を好きになるかもしれない、そんな予感がした。
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