流星夜

2/5
前へ
/5ページ
次へ
 しし座流星群が地球に近づいた夜の事です。  ぱらり、ぱらりと星のかけらが降る中で、その人は寂しそうでした。 「いつから人々は、星空を見上げなくなったのでしょうか」  銀色の髪の毛はいかにも柔らかそうで、琥珀色の瞳は、いつか食べたキャンディのように甘く、その人はきっと、星の王子様に違いないと思いました。  ひんやり高貴な香りを漂わせるその人の隣で、私も暫しの間、星空を見つめました。  星たちは、まるで示し合わせたかのように、広い空のあちこちで、ぱらり、ぱらりと流れては消えていきました。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加