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「テレビのせいかもしれません」
しばらくの後、私は、彼にそっと伝えました。
「その昔、人々は星空を見上げ、遠い異国や、いるかもしれない動物に思いをはせました。それはとても楽しい夢の時間で、けれども同時に、ほんのひとときでしかありませんでした。人々は、いつでも夢が見られるようにと、テレビという名の小さな箱を作ったのです。箱の中に映し出されるのは、番組というあまたの夢のかけらです。人々は、その中から自分の見たい夢を選んで、好きなときに見るようになったのです」
その人は私を見つめ「そうだったのですね」と、頷くと、再び夜空に視線を移しました。
私はその人の横顔を見つめ、その人と同じ夜空を眺めました。
深い夜を流れる星星が、人々に忘れ去られたことを嘆く涙のように、キラリと輝いては消えていきます。
その切なさが、私の胸に静かに積もっていきました。
そうして、星がいくつも瞬く中で、時は穏やかに流れていきました。
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