月の舟は、星の林に漕ぎ出ずる

4/10
前へ
/10ページ
次へ
小学校も中学校も同じで何度も同じクラスになった人だった。何となく好意は持っていた。会えば軽口を言い合い笑顔を見せる、恋と言えるかどうかわからないもの。 高校はその人と別になり、彼女と噂される子と自分が、同じ高校の同じクラスになった時には自分は愚鈍であることに尽くした。 暗にそれとなく彼女から何か言われたような気もしたが、気にしないことにした。 自分には関係がない。 ある時、他のクラスメイトから男友達 を紹介された。 女子高だったため、友人からの紹介ってやつだ。 「真面目でおとなしそうな子を、紹介してほしいって言われたのよ。会ってみない?」 高校生の頃はただ無駄に時を過ごしていた。 大学か専門学校を出て自立する、それだけを目指していた。 紹介すると言われて、即答で断ったのを覚えている。 今から考えれば突拍子もない答えではあったが、効果はあった。 「ごめんね。進学を考えているのでお断りする。願掛けみたいなものなの」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加