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明日から全国大会。
その宿泊先にも先生の婚約者は遠慮がちに訪れた。
その時だけはバレーが上手くなる力よりも女優のような演技力が欲しいと強く思ってた。
みんなと同じように私も彼女に笑顔を向けられているかとか、彼女と同じ人を好きになってしまったとばれていないだろうかとか、そんなことばかり気にしながら、彼女を玄関ロビーまで先生やみんなと見送った。
帰り際最後に一言、明日の試合頑張ってね!って……頑張れるのかな、私。
こんな気持ちのまま……。
寝静まった和室八畳の部屋。
ダメだ。何度寝返りを打っても眠れない。
どんなに忘れようとしても二人の幸せそうな顔が頭から離れなかった。
諦めてゆっくりと布団から抜け出す私。
どうか誰も起きませんように。
スマホの明かりを頼りに部屋を出てから、薄暗い廊下を歩き談話室を目指す。
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