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「そんな事関係ないんだよ。沙耶ちゃん悲しそうだったから、もっと、もーっと悲しくさせてあげようと思ってね」
そう言いながらタカシは笑い続ける。
「おい…お前…いい加減にしろよ!殺してやる!」
「ハハハ、殺せよ。ほら、」
そう言ってタカシは床に落ちたハサミを俺に渡す。
「ここをブスッと一突きすれば俺は多分死んじゃうかなぁ、ハハハ」
手が震える。人を殺すことなんて…
正気と狂気の狭間をさまよい、時間は流れる。
「どーしたんだよ?早くしないと人が来ちゃうよ。せっかく救急車呼んだんだから来るまでにほら…」
タカシが笑顔で煽る
「中途半端だなぁ、そんなんだからお前は誰も幸せに出来ないんだよ。」
しびれを切らしたタカシが俺の手を取った。
そして…
ズブっ………
「これでお前は何もかも失ったワケだ…」
タカシが言った。
手には生暖かい感覚が伝ってくる。
「最後は殺人犯…人間の権利もなくせ…」
俺の手が握りしめていたハサミがタカシの胸を貫通していた。
「うわぁぁあ!」
俺は驚き後ずさって尻もちをついた。
赤く染まったタカシがゆっくりと床に倒れこんだ。
コンコン、コンコン、
「救急隊の者ですー!」
まずい…このままだと俺が殺したと思われる。
「入りますよー」
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