過去ルート。思い出

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「ふぅ、暑くなってきたな。」 私は休憩のため、縁側に出てきた。 今日は私の60歳の誕生日だ。めでたく(?)還暦を迎えたわけだ。 今は落ち着いているが、激動の人生だったなぁ。 少し思い出に浸ろうとしたとき、 「あやめ。ここにいたの?」 小学校からの大親友で、日本いや世界でこの女性の名前を知らない人はいないであろう超有名人の山口茜ちゃんが私を探していたのか、ようやく見つけたという表情で近づいてきた。 「茜ちゃんありがとう。忙しいのに。」 「なにいってんのよ。あんたの誕生日に帰ってこないわけないじゃない。」笑いながら話す茜ちゃん。 茜ちゃんは、高校卒業後、1人上京し、アイドルバンドのボーカルとしてメジャーデビュー。 ファーストシングルから、解散までの約12年。出したシングル、アルバムすべてミリオンセラーの大ヒット。 解散後は、名古屋に拠点を移し、作曲家に。これまた出す曲全てのミリオンセラー。50代に入ってからは、母親役の女優として大活躍。そんな超ハードスケジュールなのに、私と夫の誕生日には必ず三重に帰って来て、祝福してくれるのであった。 「私達ももう60ね。」 「うん 。」 「あやめは幸せだった?」 「えっ、どうして?」
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