終章

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◇ 卵スープと有り合わせで作ったチャーハン。 晩飯にしては、手抜き過ぎるが、冷凍食品に比べたら幾分マシか。 丁度、仕上がったころ、彼女が戻って来た。 「シャワー、ありがとう。大分落ち着いたわ。あと、着替えも借りてる」 「あぁ、こっちも出来たよ。俺のジャージで悪い――な……」 テーブルに並べながら迎え入れて、思わず硬直する。 幾分、落ち着いて改めて見ると、割と美形だった。 まだ水分を含んだ長い黒髪に白い肌がよく映えて、なによりジャージの上から見て取れるスタイルに目を奪われた。 実はアイドルです、とか言われても疑いはしない。 「――なによ」 俺の視線に気が付いて、少し彼女がたじろいだ。 「い、いや……なんでも。簡単で悪いけど、食ってくれ」 苦笑して誤魔化すが、見透かされただろう。 妙な気まずさを一人で感じながら、食事を進める。 特に会話などなかったら、ものの十数分程度で済んでしまった。 「ごちそうさま。結構、美味しかった」 「そりゃ、良かった。コーヒーでも飲むか? インスタントで良ければ直ぐに飲めるけど」 ある程度、腹を満たした所で、今後の考えをまとめる様に入れようかと思ったが、 「どうせなら、ビールが良いわね」 思いがけないオーダーが入った。 「……お前、未成年だよな?」 「もう17よ。それに、大抵の子は少し位飲んでるものよ」 「ませてるのな――缶のままで良いか?」 「良いけど、飲んで良いの?」 「いや、普段から飲んでんだろ? こうなったら常識とか持ち出さねぇよ。法律もクソもってか」 テーブルに戻り、缶ビールを渡す。 「……今更だが、佐奈田 志希だ。呼ぶならお好きに」 「立花 澪(たちばな みお)。苗字で呼ばれるのは好きじゃないからよろしく」 お互いに蓋を開け、軽く缶を合わせた。 一息で流し込めるだけ流し込む。 ようやくの自己紹介を終えて、大分落ち着いてきた。 「さて、俺は仕事終わり、5時ごろに“こうなった”と知ったんだけど、そっちはどうなんだ?」 「昼休みの途中にはもうこうなっていたわ。無事な生徒や先生達で体育館に逃げ込んだけど、その後がタチが悪かったわね」 うんざり気に、澪は溜息を溢す。
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