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「ねぇ、朔也!あと2週間だよ!
なんとかかんとか流星群見れるの!!」
「…ペルセウス座流星群ね。
いい加減覚えたらどうなの?小夜。」
夜に近い、放課後。
今日もまた、天体望遠鏡を覗くと
群青のキャンパスが彩る世界に心を打たれる。
都会には似合わない、眩い煌めきを放つ星が
ひとつ、ふたつ、みっつ。
夏の…大三角が、肉眼で見えるより大きく
レンズの奥で、キラキラと輝いている。
…私と、朔也の至福の時間。
「朔也の観ているアルタイルはどんな?」
「どんな…って、小夜と一緒だよ。別に。」
「いや、違うね!角度が0.00000何%か違う。」
「それは、望遠鏡を覗く向きだったりが
違うだけ。どうしたらわかるの?小夜は…。」
「…馬鹿にしないで。」
天文部。それは暗くて目立たない、
星オタクが星を観察し、調べ、愛するだけの
不思議な不思議な部活。
と言っても、部員は私と朔也、ふたりだけ。
朔也は抜群に頭が良くて星の知識も豊富。
私は、星がとても好きなんだけれど…
名前を覚えたり、星座早見表すら、苦手なの。
「小夜、ちゃんと勉強してる?」
「…してる。」
「にしては、覚えが悪いよね。」
「ひどいっ、朔也みたいに頭良くないし。」
いっつもそうやって、馬鹿にされてる。
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